夫が検査、検査で過ぎていく月日のなか、私は私で今までとは違った時間を過ごしています。

今年は、コロナの件もあり、外出を控えていましたが、夫の付き添いで病院に行く機会が増え、普段は自宅に籠ることがいっそう多くなりました。夜は夜で、10時前に就寝する夫に合わせた生活になりました。

そして、9月は、風呂敷を畳む月になり、行けないでいることがずっと気がかりだった場所の鍵をお返ししたり、不参加になる旨を報告しに行ったりしました。

また、どこでどう見つけてくださったのか、タイ式マッサージのお問い合わせをいただくことがあり、お断りするくらいならと、ひっそり「かえるどう」のFacebookページや、サイトを閉じました。

私に余裕がなく、ご心配やご迷惑をかけてしまった方たちには申しわけがなかったのですが、一旦閉じる、けじめをつけようという気持ちでした。


2020年 十五夜の月

夫は、普段通りに仕事に行っています。

私は、病気のことを調べるため、パソコンの前に座って、ほぼ1日中、ネット検索するようになりました。


調べ始めに、「肺がん ステージⅣ」と入力すると、そこには、「生存率4.4パーセント」という衝撃的な数字、それが目に焼き付いて、どん底な気持ちになりました。

国立がん研究センターのがん情報サービス、とりあえずここから出発し、次々とネット情報を集め始めました。





ステージⅣの肺がん治療は、手術はできず、薬物療法しかできません。

どんな治療になるのだろう?



調べるにつれ、ステージⅣは末期がんとは違うこと、また、抗がん剤による治療は、月単位で進歩していっていることがわかり、希望が湧いてきました。


分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤、たとえ根治はできなくても、がんと一緒に生きていける方法があるかもしれない。

たくさんの人々の協力によって、研究が進み、標準治療として使えるお薬も増え、私が最初にみた数字は、すでに過去のことだったとわかってきました。


2018年にノーベル医学・生理学賞の受賞された本庶佑特別教授の研究により、免疫の働きを抑えるブレーキ役となる物質が発見されました。

この発見により、人のからだがもともと持っている免疫で、がん細胞を攻撃させる方法が見つかるかもしれません。世界中で、たくさんの研究が行われているので、明日にはもっと良い方法がみつかるのかもしれません。


エビデンス、標準治療、緩和ケア、代替療法、薬の名前、どれも頭がパンパンになるほど詰め込みました。

そんな気持ちで本屋さんに行くと、棚には、「抗がん剤は毒」「抗がん剤に殺される」「医者の言うことは聞くな」などといった本が並んでいます。
私も、病院は苦手なので、今までなら手を伸ばしていたかもしれません。

ネットの中も玉石混淆、エビデンスのない治療法がたくさんみつかります。見るからに怪しげなものから、お医者さまの治療の中にも、うーんと考え込んでしまうものもあります。

ガイダンス通りの標準治療+患者側のフィードバック、治療がうまくいく方法?

夜中に何度も目を覚まし、スマホ検索、治療も始まっていないうちから、私の方が、病人みたいになっていましたが、ある場所に行ってから、ずいぶんと気持ちが楽になりました。

そのお話はまたの機会に。


それではまたね。チョークディナカー